タイトル: あかんべえ
作者: 宮部 みゆき
出版: 小学館 2002.3.29
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おりんの両親が開いた料理屋「ふね屋」の宴席に、どこからともなく抜き身の刀が現れた。
成仏できずに「ふね屋」にいるお化け・おどろ髪の仕業だった。
しか し、客たちに見えたのは暴れる刀だけ。お化けの姿を見ることができたのは、おりん一人。
騒動の噂は深川一帯を駆け巡る。しかし、これでは終わらなかった。
お化けはおどろ髪だけではなかったのである。
なぜ「ふね屋」には、もののけたちが集うのか。
なぜおりんにはお化けが見えるのか。
調べていくうち に、30年前の恐ろしい事件が浮かび上がり……。
死霊を見てしまう人間の心の闇に鋭く迫りつつ、物語は感動のクライマックスへ。
怖くて、面白くて、可愛い 物語のラスト100ページは、涙なくして語れない。
オーソドックスな時代小説を思わせる始まりだが、物語はミステリーに、ファンタジーへと変化する。
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昼間電車の中で読んでいても、ぞわっとする感触を味わうほどの表現力。
人が良いながらも、幽霊である主要登場人物が出るシーンは「上手い」。
それよりもなによりも、人間が幽霊を通し、生身の人間を通し見事に描かれている。
ミステリーであり、ファンタジーであり、愛憎、人情、愛情の溢れる逸品だ。
「オンライン・カンソウブン(感想文)」