タイトル: セカンド・サイト
作者: 中野 順一
出版: 文藝春秋 2004.30
⇒サントリーミステリー大賞、最後の受賞作品に加筆したもの。
天才ピアニストとして将来を嘱望されていた、タクトが些細な
喧嘩で手に怪我を負い、キャバクラのチーフフロアーを勤めている
という設定でストーリーが始まる。
キャバクラの内部の人間模様、キャストと客の関係性、店長=ママという
マネージャーの存在、他店との確執や業界の派手な外見の裏にある
暗部など、導入部分での場面設定が後半につながるいい味を出している。
ミステリー×クライムノベル、という双方の要素を持っているこの小説、
後半はIWGPを髣髴とさせる展開に。
タクトがどうしてもマコトにかぶるのは気のせいか?それとも、この時代に
(2000年前後)流れる、世相がそうさせるのか?
ま、面白いからいいんですけど。
最後のハッピーエンド(になるんだろう)は、やるせない前半の重苦しさを
吹き飛ばしてくれて、すこしだけホットしました。
徐々に明らかになる、姫川の過去。
スリリングな事件の進展。たまに、IWGPとか、垣根氏の小説?と思う場面も
ないことはないが、姫川のキャラクターで「あ、これは、違う」と我に戻ったりする。
姫川の強さと、その裏側にある脆さを、うまくストーリー展開に使っている、作者の
計算が心憎い。
不可思議な、殺人事件から、それに関わる容疑者、そして本当の黒幕の登場と
対決。後半は粋をつかせず、一気にヒートアップする。
おもしろいです。でも、やはり、IWGP初期シリーズの香りがしてしまうのは偏見か?
「オンラインカンソウブン」